あろうことか、背景をお願いするという暴挙。というのも、もずるさんという方は背景や風景が大好きな、えーとええ、大好きな方でありまして。とりあえず、試しに「大雑把に!」「アタリ程度でいいですから!」と大事なことなので二回も三回も念押ししつつ一コマだけお願いし、「出来上がったら連絡お願いしますねー」と作業に戻ります。
しかし。
そのまま、1時間経過。以下、○刈さんとの会話でお届け致します。
鴨「……まさか」
刈「まさかって。私は絶対振りだと思った」
鴨「いやいや、振りとかこの状況でやらんし。流石に」
2時間経過。
鴨「こ、これはやっぱり」
刈「だからどう考えても振りでしょ?」
鴨「いや、その辺の空気はきっと読んでくれる……と思いたい」
3時間経過。
鴨「あかん。連絡しよう」
刈「賢明だね。ていうかもっと早く気づこうよ」
信じていたかったんです。うちのばっちゃを。
戦きながら電話をしてみると、明るい声で
「あ、今半分くらいできたところですー」 あまりにも予想通りの返答にめまいがしました。
鴨「ちょ、一体何を描いてるんですか! すぐ送って下さい!」
も「え、でも」
鴨「いいから!」
頼んでおきながらえらく態度のでかい鴨野郎ですが、これにはちゃんとわけがあるんです。案の定、送られてきた背景は
見事な3D。
「どうでしょう?」とご満悦なもずるさん。「塊魂みたいになってるね」と面白がる○刈さん。「かたまりだまっスィー♪」と頭の中に塊魂のBGM(歌:松崎しげる)を流しながら絶句する自分。しかし、呆然としているヒマはないのです。携帯を引っ掴むと「できるだけ大雑把に!」「これ以上ないくらい大雑把に!」ともずるさんに魂の叫びを浴びせます。
そして待つこと1時間。
鴨「○刈さん。どうしよう」
刈「だから頼んだこと自体が振りだって」
鴨「……」
2時間になろうとしたところで、もずるさんから連絡。ほっとしつつ送って下さったものを見る。
鴨「これは……凄く綺麗なんだけど。いやホント、凄く綺麗なんだけど」
刈「葉っぱ一枚一枚描いてるねー!緻密だねー!」
鴨「大雑把じゃないですね……」
も「え、大雑把って
好きなように描いていいってことでしょ?」
笑い転げる○刈さん。どうしようこの状態。これ以上なんて言えばいいのだ。ああああと頭を抱えたところでぴんと閃く。再び携帯をとりあげ、これ以上ないくらいの明確な指定を出しました。
鴨
「10分で描いて下さい(ラピュタ的な意味で)」 そして10分で出来上がってきたものは、とってもGJ!でひと安心。だが、まだまだ甘かったのです。続く背景オーダーの悪夢その2は、挿絵。○刈さんのSSに出てくる坂を描いてくれとオーダー。「夏らしく!!」「日差しが強い感じで!!」「そしてさっきくらいの感じで!」と事細かにオーダー。2時間くらいして、○刈さんが
刈「私が書いたのって、雨月物語じゃないよね……」
と震えだしました。どういうことかと○刈さんのPCを覗いてみたら
た……確かにこれは。坂の向こうから何か禍々しいものがやってきそうな気配が。震え続ける○刈さんはとりあえず置いといて「ハイコントラストで!」「ひび割れナシで!」とオーダーを追加し、事なきを得ました。
いや、全て私が悪いんですよ。もずるさんにはもうホントに感謝してますよ。しかし、あまりに芸人過ぎてもう。ちなみに、ここで絵を晒してネタレポをすることは本人にはきちんと了承を取ってあります。むしろ「是非是非!!楽しいレポになりそうですねー」とのたまっておりました。
して、そんなこんなでひねったり錐揉みしたりチャイルド描いたり助けて助けて終わらないよと言ったりしながら、月曜日の出勤3時間前にようやく終了。ソファにばったりと倒れ込んで、後は朦朧として覚えていません。ドアがバタンと閉まる音がして、○刈さんが出て行ったんだなということは辛うじて認識できました。仕事? きっちり行ってきっちり仕事してきましたとも……。
そして後日、というかまさに入稿の準備をしようとしたところ。なんとまあFTP入稿が使えないことが判明。自分ダ・メ・す・ぐ・る。仕方ないので、職場遅刻で明日の午前中に行く旨を○刈さんに伝えました。が「ちょっと待て」と○刈さん。なんと鮮やかに運び屋を手配して下さったのです……まことか。ていうか運び屋になって下さったというかしまったというか、引き受けて下さった相方様、ホントに申し訳ない&ありがとうございました。スープマグは必ず、手に入れてみせます……っ!!
と、そんな感じで修羅場レポはここまでです。今度は穏やかにイベントレポとなることでしょう。ではでは皆様、シーユーアゲイン!